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年明けに初めて図書館に行きました。特に目当ての本があったわけではありませんが、いくつかの本を借りました。その中で、たまたま手にした、元読売新聞記者で、現在テレビなどでもおなじみのジャーリストである大谷昭宏さんの『監視カメラは何を見ているのか』(角川書店・2006年8月10日)もかリツことにしました。市民向けに書かれた191ページの新書で、一気に通読しました。 本書のタイトルは『監視カメラ・・・』ですが、昨今歌舞伎町、住宅地の商店街からマンションに設置された監視カメラのことだけに言及しているわけではありません。大谷さんは、共謀罪、住基ネット、個人情報保護法、マンションビラ配布など住居侵入罪を適用した微罪逮捕、微罪起訴など、国家権力が国民(住民)を監視・管理の対象とする昨今の法律や行政のあり方などに対し、批判的に検証しています。 大谷さんはジャーナリストであり、法律家や研究者ではありませんから、学問的論理的な検証を中心に行っているわけではありません。長年ジャーナリストとして取材現場で現場の空気を大量に吸ってきた現場感覚に基づき、公民を管理・管理の対象とする昨今の法律や行政のあり方を問題としています。 権力の終局の目的は、市民の安寧な生活を維持することではない。市民を監視下に置き、市民をコントロールすることにあるのだ(本書141ページ)。 この記述は、大谷さんが本書で最も主張したかったことのひとつが集約された言葉だと思います。 共謀罪の成立は、憲法や刑法の基本原則に照らしてもおよそ受け入れられる法律ではないと考えますが、それが暴力団や国際的な犯罪組織を壊滅するためのものとしてその成立を主張しつつ、他方で市民団体やNPOなど市民のまともな活動にも適用することが除外されているわけではなく、むしろ国家の政策に異議を唱えるそのような組織にも適用される余地があることをさまざまな角度から説明されています。 特に、共謀罪は犯罪の実行行為も準備行為もないにもかかわらずこれを違法化するものであり、保坂議員が国会質問したとおり、共謀したとされる人物が一方当事者に対してウインクしただけでも犯罪の対象となるというおよそ陳腐な事例もあるとされています。 大谷さんが端的に指摘しているとおり、昨今のきな臭い法律や政策の多くは、本来国民に監視・統制されるべき国家権力やその担当者が、国民を管理・管理・支配の対象としているのではないかと考えざるをえないことがしばしばあります。 大谷さんも言及されている住民基本台帳法の改正によるいわゆる住基ネットなど、一体どれだけの税金がつぎ込まれ、どれだけの国民の利益になっているのか全く不思議でなりません。良識ある学者や研究者、市民団体なども懸念しているように、住基ネットの本来的な機能である住民の氏名、性別、年齢、住所だけに使われる保証はまったくありません。現に、公的な身分証明書のひとつとして、住民基本台帳法カードが挙げられている書類も見かけるようになりました。 もちろん、大谷さんは国家権力が国民を監視する監視カメラをはじめとする国家的な規制を歓迎する意見があることも承知しています。私も同感です。確かに、監視カメラがある地域は犯罪発生の抑止効果があり、現実に犯罪の発生率が減少しているなどということも見聞したことがあります。司法試験の刑法の教科書で定番となっている刑法学者の前田雅英先生が、以前NHKラジオのインタビューに対して監視カメラの効果を評価する発言をされていました。 確かに、テロ組織、暴力団、振り込め詐欺集団など国家権力とりわけ警察権力が監視・監督を強化すべき対象もあることは否定できません。しかし、そのような犯罪集団と一般の市民が同等の対象とされる法律や規制方法はやはり問題が残るといわざるを得ないでしょう。憲法や刑法の基本的な原理原則に反するおそれのある共謀罪や盗聴法などは論外ですが、やはり組織的犯罪集団とおよそそのような集団とは無縁の市民や市民団体とを区別することは必要なのだと思います。 このほか、大谷さんは警察畑で取材を重ねてきただけあって、誠実に捜査を進める警察官がいる一方で、重大事件で次々と明らかになる警察による情報操作、虚偽の発言、裁判所における虚偽の証拠の提出など、国民(住民)に敵対する警察官の数々の不祥事にも言及されています。警察官OBが警察の実態を暴露した本などにも書かれていることではありますが、改めて警察権力のあり方を考えざるを得ませんでした。 興味のある方には一読をお勧めします。 |
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